VACUUM

1. The Origin

思い出せ。

苦渋を舐めた過去を。

不平等、不公平、理不尽、不条理を憎んだ過去を。

まだ何者でもなかった時代を。

ただ、愛されたかった。

必要とされたかった。

特別になりたかった。

だからあなたは、死に物狂いで努力した。

競争を受け入れ、勝ち抜いた。

ただ、知らなかっただけだ。

成功の影に、底なしの虚無が広がっていることを。

新たな地獄が待ち受けていたことを。

2. The Confession

強くなったのではない。

弱さを隠すのが、うまくなっただけだ。

高みを目指したのではない。

底辺の地獄から、逃げてきただけだ。

金や名声が欲しかったのではない。

誰にも舐められない「安心」が欲しかっただけだ。

偉くなったのではない。

相手を萎縮させる術を、身につけただけだ。

成功したのではない。

成功しているように、見せているだけだ。

すごく見せることがうまくなった。

人心を動かすことがうまくなった。

ただ、弱い自分を直視することから、逃げ続けてきた。

あなたが一番知っているだろう。

成功者という皮を被らなければ、自分を保てない。

誰よりも強く見えるあなたの本性は、誰よりも臆病で弱い。

それだけだ。

3. The Void

その延長線上に、愛は存在しない。

あるのは支配、欲望、依存だけだ。

自動で戦闘モードに入り、常に「舐められないか」を監視する。

「なぜこんな簡単なことができない?」と他人を見下すことでしか、自分の価値を確認できない。

100%対等に語り合える人間がおらず、周りにはあなたの「機能」に群がる者たちだけ。

財布は潤った。

称賛も浴びた。

けれど、あなたの心は砂漠のように乾いている。

当然だ。

恐怖を原動力にして組み上げた城の中に、

安らぎなどあるはずがないのだから。

4. The Stop

これ以上、武器を増やすな。

鎧を厚くするな。

脱げ。引け。置け。

呪いを断ち切れ。

もう十分やってきたじゃないか。

あなたに必要なのは、新しい知識でもスキルでもない。

「弱い自分との和解」。

それだけだ。

ここは、新たに何かを学ぶ場所じゃない。

捻じ曲がったプライド。

偏ったバイアス。

過去の成功体験。

積み上げたサンクコスト。

あなたを束縛する呪いを安全に手放し、

生命の躍動を取り戻すための場所だ。

5. The Stance

私は、あなたを「操作」しない。

私はビジネスを辞めたわけではない。

「売るための心理技術」や「依存させるマーケティング」を使うのを辞めたのだ。

だから、正解を押し付けたりしない。

私の思う答えに辿り着くように誘導したりしない。

あなたの内側にしかない恐怖や葛藤に、勝手に名前をつけたりもしない。

社会性も、道徳も、常識も、市場価値も求めない。

うまく話そうとしないで欲しい。

今の時代、表立っては言えないことほど吐き出して欲しい。

本音はそこにしかないから。

私は、あなたが本当はどうしたいのかだけに興味がある。

あなたが忘れてしまった、本当のあなたの姿を見たい。

あなたが誰であれ、

全ての肩書きを剥がして「人間」として関わる。

6. The Protocols

100%あなたのための「真空」は、自然には発生しない。

私たちが共犯となり、意図的に世界を遮断することで初めて成立する。

01. The Common Law / 共通の作法

私たちは、互いに「役割」を捨てる。私は「先生」ではない。あなたは「成功者」ではない。この部屋では、社会的な階級も、実績も、権威も無効化される。オンラインは禁止だ。スマホも、高級時計も、ブランドスーツも持ち込めない。互いに何者でもない「生身」として、ただそこにあること。それが、対話の最低条件だ。

02. My Vow / 私の献身

私は、「生産性」を捨てる。1日1名限定、時間無制限。効率も、損得も、拡大も求めない。あなたが100%自分自身と向き合うためには、誰かが外圧を遮断し、その「真空」を人為的に設計し続けなければならない。そのために、私はすべてのリソースと時間を、あなたのためだけに注ぐ。

03. Your Vow / あなたの献身

だからあなたも、「合理性」を捨てろ。無料ではない。定価もない。私が請求するのは、あなたが出し渋る、痛みを伴う価格だ。勘違いするな。これは利益のためではない。完全な「真空」を作り出すための必須要件だ。身を削る痛みがなければ、あなたの分厚い鎧は脱げない。その痛みこそが、ここへ入るための最初の「禊(みそぎ)」となる。

7. The Outline

詳細な設計図は存在しないが、旅の輪郭だけは示しておく。

期間

一夜にして成る変革はない。 約半年間、私はあなたの影として在り続ける。

場所

喧騒から隔離された、都内某所の密室。 ここは、あなたが「社会」から蒸発するためのシェルターとなる。

形式

定期的な対面対話のみ。

8. The Invitation

うまく話すな。

有能であろうとするな。

誰にも理解されない孤独を持ってこい。

誰にも見せられない弱さを持ってこい。

名前のつけられない悩みを持ってこい。

世界で唯一、あなたが人に戻れる真空を用意して待つ。